糖化は食生活によって大きく影響されます。
気をつけたいのは、糖化によって老化物質AGEsが体内に蓄積されていく経路には、大きく2つあるということです。
1.食べ物そのもののAGEs
ホットケーキなど熱を加えた食材は、褐色に変化します。実はこの褐色の部分にAGEsが多く含まれていて、例えば同じ鶏肉料理でも、水炊きを1とすると焼き鳥は6倍、唐揚げは10倍ものAGEsが含まれることになります。一般的に、
生<蒸す<茹でる<焼く<揚げるの順に含まれるAGEsの量は多くなります。
食べ物に含まれるAGEsの一部は消化の段階で分解されますが、およそ7%は排泄されずにどんどん体の中に溜まっていきます。揚げ物ばかり食べているとどんどんAGEs が蓄積されていってしまうので、そのことも踏まえた上でメニューを選択する習慣を持つといいです。
2.体内の余った糖から作られるAGEs
通常、食事を摂ると血糖値は急に上昇します(これを血糖スパイクと呼びます)。血糖値が140mg/dlを超えてくると、血中に糖が余るようになります。この余分な糖が体内のタンパク質と結びつき、AGEsを生成します。これが糖化反応です。
最近、腸内環境が認知や炎症機能などに関与していることが明らかになり、注目を集めています。実は、AGEsは腸内環境にも影響を及ぼします。まず、高血糖が腸管にもたらす影響について。高血糖は腸管のバリア機能を低下させます。特に、フルクトースが高い状態の場合は腸管における糖化ストレスが高く、プロピオン酸や酪酸といった腸内細菌が減少します。腸内細菌は糖代謝にも関与しています。これらの菌は短鎖脂肪酸に分類されますが、短鎖脂肪酸はインスリン分泌を促進するインクレチンというホルモンの分泌を促進したり、食欲を減退させるなどの作用があり、いわば抗糖化・肥満作用を持っていることが分かっているのです。
ちなみに、高脂肪食(6割)でも腸管バリア機能を低下し糖代謝を悪化するという報告があります。具体的には腸管からLPSが入ってきてインスリンの抵抗性をあげてしまいます。これは飽和脂肪酸での話で、DHAなどの魚油の場合では起こらないことから、糖質だけでなく脂質についても食事において考慮する必要があると考えられます。
反対に、乳酸菌(ラクトバチルスロイテリ)を8週間投与するとインスリン感受性が上がり、腸管バリア機能が回復するという報告もあります。糖化ストレスを左右するものの1つが腸内環境というのは今後ますますトピックスになってくると思います。
少し話が難しくなってしまいましたが、とにかく食事では糖化ストレスを減らす工夫が必要ってことです。
具体的にAGEsの生成を防ぐには
- 1.揚げ物や焼いたものよりも生野菜や茹で料理、蒸し料理を摂る(食べ物そのもののAGEsを減らす)
- 2.血糖スパイクを防ぐ食べ方を取り入れる(別リンク)(身体の中で作られるAGEsを減らす)
という工夫が有効です。
そしてもう1つ、気をつけたいのが「
人工甘味料」。
具体的には「果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「「異性化糖」と表記されているものは、ブドウ糖にフルクトースが結合したもので、糖化ストレスが非常に起こしやすく、ブドウ糖のおよそ10倍と言われています。特に清涼飲料水やゼリーなどに多く含まれているため、購入の際は注意が必要です。
参考文献:
・Irie J, et al. Human Gut Microbiome and Its Implication in Endocrinology and Metabolism. Nihon Naika Gakkai Zasshi.2014.103:2813-19
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