ビール、ワイン、日本酒・・・
お酒の種類は様々ありますが、いずれもアルコールです。実はアルコールこそが糖化ストレスの引き金となります。アルコールは化学構造式的に「アルデヒド基」を含みます。糖化の犯人は、この「
アルデヒド基」なんです。
最近の研究では、このアルデヒド基が引き金となって糖化反応が連鎖的に起こり、老化物質AGEsを作り出してしまうということが報告されています。少しアルデヒド基と糖化について細かく説明すると、グルコースは、体内ではほとんど(99.998%)はアルデヒド基が露出していない「環状型」で存在しています。一方、糖化反応を起こしやすいフルクトースは、グルコースよりも環状の一部が開いている「開環」状態のものが0.6%と、これは
グルコースの300倍。開環状態だとアルデヒド基が露出し、糖化反応を引き起こしやすくなるのが、フルクトースが糖化ストレスが強い理由です。
そういう意味では、もちろん糖化ストレスに一番大きく影響するのはグルコース、フルクトースなどの糖質ですが、すべてのお酒はアルデヒド基を含むため、糖化対策を考えると飲まないに越したことはことはありません。実際に、これまでの研究でお酒を飲む頻度が多い人は体内のAGEs量が多いということが分かっています。特に注意が必要なのが、「お酒を飲んだらすぐに顔が赤くなる人」です。このような人はアルコールの分解能力が低く、アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドが長い時間体内に残りやすい人。そのため同じアルコール量でも、よりAGEsを産生しやすい傾向があるのです。
ただ、そうは言ってもお酒を飲む機会ってゼロではないですよね。お酒好きの人やお酒を飲む機会が多い人は、どれくらいで控えるのがよいのでしょうか。推奨される量としては日本酒なら1日1合、ビールは中瓶1本、ワインならグラス2〜3杯程度。翌日に残るような深酒は控えた方がいいでしょう。
注目すべきは日本酒で、推奨される量を超えて飲まなければ抗糖化作用が期待できます。同じく、赤ワインはポリフェノールが豊富に含まれており、糖化だけでなく酸化も抑制する効果があると言われています。ただし、いずれも適量が基本です。
お酒は適度に楽しむ。それがアンチエイジングにポイントかもしれませんね。
参考文献:
Tadasue K, et al.Anti- glycative effect of Japanese sake (seishu): Prevention of advanced glycation end product (AGE) formation.
Glycative Stress Research 4(2): 80-86, 2017.
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