食べ物や調理法の次は、食事そのものをどのように工夫すると、糖化は抑えられるのでしょう。これまでの報告で分かっていることは次のようなことです。
- 野菜を先に食べる
- GI値の低いものを食べる(精製した炭水化物は控える)
- レモン汁や酢などを取り入れる
- 朝食を抜かない
- ゆっくり・よく噛んで食べる
それぞれ少し解説を加えたいと思います。
- 野菜を先に食べる(ベジファースト) これはよく言われることですが、実は食後の血糖上昇を抑える効果があるだけでなく、野菜を食べる習慣をつけるという意味でも重要なことです。例えばトンカツでもキャベツを添えるだとか、些細なことでも野菜ゼロの習慣をつけることが大切です。野菜だけでなく、キノコなどの食物繊維も血糖上昇を穏やかにするため、積極的に取り入れるのがオススメです。
- GI値の低いものを食べる(精製した炭水化物は控える) GI値は(Glycemic Index)の略で、ブドウ糖を100としたときにどれくらい血糖が上がるかの相対的な指標です。例えばうどんとそばだったらそばの方が、白米と玄米だったら玄米の方がGI値は低いです。ただ、そもそも一番重要なのは食後血糖値よりも、食後高血糖によって分泌されるインスリンの量。厳密に言えばインスリンを測るのがベストですし、GI値が参考になるのは炭水化物だけで、タンパク質などはGI 値は低いですがインスリンはそこそこ分泌されます。なのであまりGI値だけにこだわる必要はありません。他に、冷やご飯やサツマイモなどはレジスタントスターチといって、血糖上昇が起こりにくいデンプンもあります。レジスタントスターチは腸内細菌のエサにもなる「プレバイオティクス」としての一面を持ちます。炭水化物は量だけでなく質も大事だということを覚えておいてください。
- レモン汁や酢などを取り入れる レモンやお酢などは、積極的に取り入れたい「抗糖化食材」。例えば唐揚げみたいにAGEsが高い食事の時はせめてレモンをかけたり、酢の物を一緒に食べるなどの工夫があるといいでしょう。他にもレモンでお肉を漬け込んだり、バルサミコ酢のソースを作ったりと、レモンやお酢は汎用性が高いのが特徴。
個人的にオススメなのは、食前酢です。最近ではたくさんの種類のデザートビネガーがスーパーなどでも売られています。水や炭酸水で割るととても飲みやすく、調理しながら飲んだりしています。また、食後に同じく糖化を抑制してくれる緑茶を飲むのも有効です。意識的に取り入れるようにしてみてください。
- 朝食は抜かない 朝食を抜くと、朝食の前に低血糖になり、血糖上昇ホルモンの分泌が促されます。そのタイミングに昼食を摂ると、グラフのように血糖値が急激に上がってしまいます(血糖スパーク)。つまり、朝食を抜くと糖化ストレスが促されます。朝食は時間がなくても摂るべき。特に卵などのタンパク質を意識的に摂取することがオススメです。
- ゆっくり・よく噛んで食べる 実は、早食いが一番血糖上昇に貢献してしまうと言われています。実際に私も測定したことがあるのですが、同じカロリーでも懐石料理のようにゆっくり食べると、血糖上昇は抑えられます。ただ、普段の食事を懐石料理にするのは現実的ではありませんよね。ゆっくり食べる工夫としては、大皿料理ではなく小皿に分けて盛り付ける、スプーンではなく箸で食べる、箸をこまめに置いて食べるなどがあります。
いずれも、それほど難しいことではなくちょっとした「意識の差」によって変わってくることばかりですよね。何を食べるかも大事ですが、「どうやって」食べるかということも、少し意識してみるといいでしょう。
参考文献:
・Sugiyama, M.et al. Glycemic index of single and mixed meal foods among common Japanese foods with white rice as a reference food.Eur J Clin Nutr.2013. 57: 743 -752
・Brown IL, et al. Prebiotics, synbiotics and resistant starch. 日本食物繊維学会. 2006. vol.10
・Hayashi S, et al. Glycative Stress Research. 2017.4:124-131
関連