ドクターが教える医学的根拠に基づいた健康になるための独自レシピ|ドクターレシピ

ドクターが教える医学的根拠に基づいた健康になるための独自レシピ|ドクターレシピ
小林智子

fukidashi-2

皮膚科医 ドクターレシピ監修 小林智子

健康的な生活を送る上で毎日の食事はとても重要です。「Dr.recipe(ドクターレシピ)」では常に新しくアップデートされる医学論文のデータに基づいた、健康増進・アンチエイジングに効果的なレシピを皆さまに提供いたします。

低温調理で抗糖化AGE

AGE(エー・ジー・イー)とは?

毎日の食事でも、老化につながりやすい食事とつながりにくい食事があるのはご存知でしょうか?そしてその違いはどこから生まれるのでしょうか?そのキーワードは「AGE」です。

「AGE※とはタンパク質が糖と反応してできる有害物質で、老化や生活習慣病に影響を与えるもの」

※ AGEはAdvanced glycation end products(終末糖化産物)の略

AGEはタンパク質と糖が結びついてできた物質です。これまでの研究で、AGEが身体のあちこちに蓄積されることによって皮膚のシワや認知症などの老化現象、動脈硬化、骨粗鬆症などの生活習慣病など、様々な影響を及ぼすことが分かっています。厄介なことにAGEは一度生成するとなかなか分解されず、どんどん体内に蓄積されてしまいます。では、どうやって体内にたまっていくのでしょうか?その経路は大きく分けて2つあります。

AGE(エー・ジー・イー)とは?

AGEがたまる経路1 ~食事から~

「過度に加熱した加工食品はAGEの原因です」

熱を加えると食材はキツネ色から黒くこげていきます。実はこの褐色の部分にAGEが多く含まれていて、例えば同じ鶏肉料理でも、水炊きを1とすると、焼き鳥は6倍、唐揚げは10倍ものAGEが含まれています。
こうした飲食物に含まれるAGEの一部は消化の段階で分解されますが、約7%は排泄されずに体内に溜まってしまいます。

AGEがたまる経路1

AGEがたまる経路2 ~身体の中のあまった糖から~

「あまった糖が体内のたんぱく質と反応しAGEになります」

食後、血中の血糖値は急に上昇します。そして血糖値が160mg/gを越えてくると、血中に余分な糖が増えます。この余分な糖が体内のタンパク質と結びつき、AGEになります(これを糖化反応と言います)。体内のタンパク質が糖化しても、初期の段階で糖の濃度が下がれば元の正常なタンパク質に戻ることができます。しかし高濃度の糖がある程度の期間さらされると、毒性の強い物質に変わってしまい元には戻れなくなります。

では、このAGEから、どのように体を守ればよいのでしょうか?

食事でAGE対策 ~AGEをためない食べ方~

「食べ方をちょっと変えるだけで、体内のAGEは少なくなる」

AGEをためない食事方法とは次のようなことです。いずれも簡単にできることばかりなのでさっそく実践してみましょう。

  • ① 野菜を先に食べる(ベジファースト)
  • ② GI値の低いものを食べる(精製した炭水化物は控える)
  • ③ ゆっくり・よくかんで食べる
  • ④ レモン汁、酢など酸っぱいものをかける
  • ⑤ 食事から就寝まで3時間以上あける
  • ⑥ 朝食は抜かさない
  • ⑦食後に体を動かす(皿洗いなど家事程度でも可)

これらはすべて、血糖値コントロールに有効で、「あまった糖」をつくらせなくします。新たなAGEが体内にたまらなくなると、徐々にAGEは少なくなっていきます。

食事でAGE対策 ~低AGEクッキング~

「料理を工夫すると体内のAGEは少なくなる」
タンパク質と糖質があれば、そこにはAGEが存在します。しかし、食材や調理方法を工夫することで、AGE量を最小限に抑えることができるのです。そこで、提案するのが「低AGEクッキング」。

低AGEクッキングのポイント

1 低AGE作用の食材をつかう

ポリフェノールやイリドイドなどの植物栄養素の存在下では、AGEの形成を阻害することができます。これを「抗AGE作用」と呼びます。例えばブルーベリー、ブロッコリー、トマトなどです。これらの野菜や果物をうまく食事に取り入れれば 、AGEを抑える料理をつくることができます。

2 低温で調理する

低温で調理することも低AGEダイエットに大変効果のある調理方法です。

低温調理法って?

低温調理法とはフランス発祥の調理方法で、その名の通り低温で調理することを言います。なぜ低温調理が低AGEダイエットになるか、それは同じ食品でも

生<蒸す・茹でる<煮る<炒める<焼く<揚げる

の順にAGEは増えていくため、低温で茹でる低温調理法は他の調理法と比較してAGEを抑えることが可能なのです 。
そして健康面だけではなく、低温調理法では

  • 素材本来の風味やうまみを逃がさずに仕上がる
  • タンパク質の変性を防ぐことによってジューシーに仕上がる
  • 特定の温度が指定できるため誰がやっても同じ仕上がりにできる

といった様々なメリットが挙げられます。

右が通常のフライパンで調理したもの、そして左が低温調理によるものです。どちらが美味しそうか、違いが一目瞭然ですね。

以下に低温調理法についてもう少し詳しく説明しています。興味がある方は読んでみてください。それよりもこの低温調理法が簡単にできる器械はないの?と思った方は、こちら(Anova Precision Cooker)をご覧ください。

低温調理法について

低温調理法にはいくつかポイントがあります。
  • 1, 温度
  • 2, 時間
  • 3, 真空密閉
の3点です。
まず、肉にはミオシンとアクチンというタンパク質があり、その二つが肉の柔らかさを決定付けます。タンパク質それぞれが変性する温度は異なり、魚と肉でも多少違ってきますが肉の場合はミオシンが50℃、アクチンが65.5℃で変性が始まります。そして私たちの舌は、ミオシンは変性しているけれどアクチンは変性していないように調理された肉を美味しく感じるのです。
そのため肉の場合は60-65.5℃が最適な調理温度と言えます。
一方、肉(イメージしやすいようにブロック肉と想定します)の調理方法には網焼き、オーブン、フライパンなど様々な方法がありますが、一般的に高温で調理すればするほど熱が通るための時間は短くて済みますよね。低温調理では少なくとも ミオシンが変性しない65.5℃以下の温度で調理をしますが、 食中毒の原因になるサルモネラやセレウス菌などのパスチャライゼーション(食品が比較的安全と考えられる程度にまで細菌の数を減らすこと)のためにも、60℃以上での十分な加熱が必要です(肉にもよりますが最低30分以上)。ちなみに38℃前後で最も菌が増殖すると言われています。
時間をかけて加熱することはパスチャライゼーションだけではなく、熱の入り方にも大きく関わってきます。通常網焼きなど高温で調理する場合、熱は食品の外側から内側に伝わるため、中心に十分火が通るころには、どうじても外側は温度が上がりすぎてしまいます。 食品全体に均一に火が通るしくみ、それが最後のポイント「真空密閉」です。発祥の地フランスでは低温調理法のことを「sous vide(真空調理)」と呼び、英語でもそのままsous videが使われています。
実際に低温調理をする際は、肉などの食材をジップロックなどのプラスチックの袋に真空パックして調理します。真空にすることで効率的かつ均一に熱が伝達され、同時に食品の風味やうまみは密閉しているためそのまま保つことができるのです。

AGEがたまる経路1

「AGE測定推進協会」の調査によると、AGEは年齢だけでなく、生活習慣(喫煙、ストレス、食事、ストレスなど)にも相関することが分かっています。健康的に生活をしていても、AGEをためやすい体質もありますので、一度測定してみてはいかがでしょうか。
測定場所は「AGE測定推進協会」のWEBサイトにて確認することができます。また、最近では病院でもAGE測定機器を置いているところが増えてきました。「AGE測定 クリニック」で検索をしてみるといいでしょう。

AGEを簡単に測定する器械があります。「TruAgeスキャナー」「AGEリーダー」が有名です。AGEに特殊な光を当てると蛍光する性質(自家蛍光値と呼びます)を利用し、定量化するのです。光を当てるだけですので痛くもありませんし、測定に数十秒しかかかかりません。 もともとは、糖尿病患者の合併症リスクを予見するために、医療機器として開発されたものですが、健康な方々の体調管理にも利用できます。 詳しくはモリンダジャパンのHP
https://truage.com/jp/truage/home.html)をご覧ください。

AGE測定機器