- 糖化と運動
- 運動が糖尿病のリスクを軽減することは広く知られています。同様に、運動が抗糖化対策になることもこれまでの報告で明らかになっております。実際に、同じ年齢のアスリートは、運動習慣のない人とCMLなどの老化物質AGEsの量が21 […]
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梅雨も明け、いよいよ夏のシーズンが到来ですね。海、プール、山など、すでに夏のレジャー計画を立てている人もいると思います。そこで忘れてはいけないのは紫外線対策です。
紫外線でも波長によってUVA、UVB、UVCとあるのですが、中でも注意していただきたいのは「UVA」です。なぜかと言うと、UVAによってもたらさせれる「光老化」という現象によって、皮膚のコラーゲンなどのタンパク質の細胞がダメージを受け、老化の原因になってしまうからです。
私は基本的にとてもずぼらな性格で、スキンケアにはお金をかけず、最低限のとてもシンプルなケアしかしていません。しかし、紫外線については話は別です!よく「紫外線=シミの原因」と考えている方が多く、中には将来シミができたときにレーザー治療をすればいいや、と考えている方もいるかもしれません。しかし、紫外線対策を怠った人はシミになる前の「シミ予備軍」の数にも圧倒的な差ができるだけでなく、紫外線による光老化がたるみやシワの最大の原因になってしまうことを忘れてはいけません。つまり、紫外線対策は「将来美しい肌でいるための投資」と考えてください。
先ほどご説明した皮膚のタンパク質の細胞のダメージというのは、酸化ストレスやAGEによってもたらされる糖化ストレスでも起こります。AGEや糖化についてはこれまで何度も説明していますが、紫外線でも糖化反応が起こることが分かっています。抗糖化には食生活が大きな影響を与えますが、それだけでなく実は紫外線もなんです。紫外線、あなどれないでしょ(笑)。
日焼け止めについては、クリームなりスプレーなり、塗るタイプが基本ですが、最近では飲むタイプの日焼け止めも皮膚科などで処方されるようになってきています。もちろん、確実に紫外線をブロックするには塗るに越したことはありませんが、例えばよく日焼け止めでかぶれてしまう方や、海などの日焼け止めが落ちやすいシチュエーションなどには有効です(ただし妊婦の方は避けてください)。興味がある方は一度皮膚科で相談してみるといいでしょう。
ちなみに日焼け止めにはSPFとPAの2種類が表記してありますが、そのうちUVAの防止効果はPAで示されていて、+〜++++の4段階があります。日焼け止めを購入されるときはPAにぜひ着目してみてくださいね。夏場は+++あるいは++++のものがマストです。
そして最後にもう1点。UVAはUVBと比べて波長が長いことが特徴で、窓ガラスも通過してしまいます。ここで注意していただきたいのはよく運転をされる方。実は、フロントガラスとドアガラス(横のガラス)では、UVカットガラスと謳っていてもその通過率が異なることがほとんどなのです。フロントガラスとドアガラスではその構造が異なり、フロントガラスが2枚の合わせガラス構造にすることで平均96%のUVカット率を可能にしている一方、ドアガラスにおいては1枚構造で、UVカット率は平均71%ということが分かっています。車種によってはドアガラスでも90%近くのUVカット率を持つものもあるのですが、そのような車は、最近発表された論文によると世界15社の車メーカーの全29種のうちわずか4種(14%)だったそう。そのため、右ハンドルの日本車の場合常に右からの紫外線(特にUVA)を常に浴びることになり、下手すると左右でシミやシワの形成に差が出ることだって十分ありえちゃうということ。それは避けたいですよね!
以上、私も一応本業は皮膚科医なので、今回はスキンケアについてお話してみました(笑)。ちなみに強烈な紫外線を感じるこの写真は海ではなくシカゴのミシガン湖です。
参考文献:Boxer W, et al:Assessment of Levels of Ultraviolet A Light Protection in Automobile Windshields and Side Windows: JAMA Ophthalmol; 2016.1139