- 糖化と運動
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先月行われた日本アレルギー学会。去年行けなかったため、今年は参加してきました!アレルギー学会の中でも最近注目されているのがアレルギーと腸内環境について。特に、赤ちゃんの腸内環境がその後のアレルギー発症に影響するのではないか、と考えられていて、小児科だけでなく色々な科の先生が研究を行なっています。
腸内細菌は胎児の時にはまだいませんが、産まれて新生児から徐々に菌の種類や数が増えて、学童期には大人と同じ腸内環境に成熟していきます。今回の学会でアップデートされた最新の研究結果を、備忘録兼ねていくつかご紹介したいと思います。
まず、腸内細菌にはかなり個人差があるということ。特に数については、20兆〜120兆とかなり大きな差があるということが明らかになっています。この差というのは色々な原因で起こるのですが、やはり大きな原因は食生活。特に差が出てくるのはファーミキューテスとバクテロイデスという菌の割合で、お肉をよく食べるとバクテロイデスが増える傾向にあるそう。
実は、このファーミキューテス(F)とバクテロイデス(B)の比については以前から注目されており、BMIが高い人はF/B比、つまりファーミキューテスが多いという報告もあります。これは、バクテロイデスが作り出す短鎖脂肪酸が脂肪の吸収を抑制するため、と考えられているからですが、そしたら痩せるにはバクテロイデスが増える食事、つまり肉食がいいのか??ということになりますよね。残念ながら、肉中心の食生活ではバクテロイデスの1つであるバクテロイデス・フラジリスという菌が増え、大腸がんのリスクが上がることが分かっているのです。そうそう単純な話ではないんですよね・・。
次に、腸内環境と子どものアレルギーについて。アレルギーがある子とない子の腸内環境の差は、生後3ヶ月の時点で既に認められて、欧米の研究ではビフィズス菌の数がアレルギーがある子では少なかったという報告があります。
生後3ヶ月はまだ離乳食前なので、どういった要素がその差になるのか、というところはみんなの興味があるところですが、まだまだ完全には分かっておらず、現時点では
・帝王切開かどうか(産道を通るかで菌への暴露が変わってくる?)
・幼児期までの抗生物質の使用頻度(多いと腸内環境が悪化する傾向に)
・母乳に含まれる飽和脂肪酸の割合(多いと腸内環境が悪化する可能性が)
これらが腸内環境に関係する因子として挙げられています。その一方で、母乳自体にはアレルギーの発症を予防する効果はないということも分かっています。
今後もっと研究が進めば、妊娠や出生後に必要なアレルギー予防法が確立されて将来アレルギーで苦しむ子どもが減る時代が来るかもしれません、いや、来て欲しい!もっとアンテナを張って新しい情報があったらまたブログでお伝えしたいと思います。