- 糖化と運動
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最近、肌を褒められる機会が増えました。スキンケア本を出版した手前、肌を褒められることは非常にありがたいことです。そして、どんなスキンケアをしているのか、よく聞かれるようにもなりました。実は、本当に何も特別なことはしていないのです。ただ、年齢を重ねて自分なりにスキンケアやメイク法を最近少しずつ変えてはきています。また、私が皮膚科医になりたての頃から10年弱がたち、スキンケアに関する医学的なデータも増えてきたのも事実です。
すなわち、「漫然とずっと同じスキンケアは実は間違っている」ケースもあるということ。今日はそんなスキンケアにまつわる最新情報を少しお教えしたいと思います。
最近注目されているのは、肌の「善玉菌」です。肌には、常在菌といってたくさんの菌が共存しています。常在菌には肌にいい働きをする「善玉菌」から、ニキビなどのトラブルを引き起こす「悪玉菌」まで様々あります。善玉菌は肌にうるおいを与え、外部の刺激から守ります。
それだけでなく、最近この善玉菌が紫外線ダメージによる皮膚がん予防にも一役買っていることが分かりました。紫外線は、肌細胞のDNAを傷害し、癌化させます。通常、肌の色を作っているメラニンが紫外線ダメージから守る働きがありますが、白人などメラニンが少ないと特に紫外線による皮膚がんのリスクは上がります。
今回の研究で分かったのは、メラニンだけでなく肌の善玉菌である「表皮ブドウ球菌」が6-HAPという物質を産生し、それによりDNA傷害を受けた細胞の成長を抑制することで癌化を防ぐ働きがあるということです。
このことから言えるのは、「誤ったスキンケアで善玉菌を減らさない」ということ。それでは善玉菌を減らさないスキンケアとは具体的にどのような方法でしょうか。それはずばり「ずぼら」ケア。具体的に言うと
・クレンジングはゴシゴシしなくても落ちる分の量で
・すすぎはしっかりよりもすばやく
・すぐに化粧水、乳液で保湿
そして、年齢によって肌の常在菌は善玉菌も悪玉菌も減る傾向にあります。そして、肌の水分量、油分量も年齢を重ねるごとに減っていきます。そのためエイジングケアこそスキンケアのやりすぎはNG。ささっとスピーディな「ずぼら」ケアになるよう心がけましょう(少し違和感があるかもしれませんが)。もともと乾燥肌の方は朝は洗顔料なしのすすぎのみで行う方がベターかもしれません。
アンチエイジングケアというと、しっかりと時間をかけて行うイメージがあるかもしれませんが実は逆で、善玉菌のためにはやりすぎないケアが重要です。ご自分のスキンケアはいかがでしょうか。エイジングに伴う肌や体の変化を知っておくのは、自分のために大切な投資だと思います。
さて、なぜ最近このようなスキンケアのお話が多いかと言うと、実は今スキンケア本の第2段としてエイジングケアの本を執筆中だからです。発売は夏頃を予定しています。正しいエイジング情報をたくさんご紹介できたらと思っているので乞うご期待ください!
参考文献:
Teruaki Nakatsuji, et al. A commensal strain of Staphylococcus epidermidis protects against skin neoplasia. Science Advances, 2018; 4 (2): eaao4502