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なぜ、アスリートはささみとブロッコリーのコンビを好む?

  • 2016/06/04
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私の知り合いでいつも筋トレしていて、たまにボディービルの大会に出場している男の子(20代前半)がいます。以前大会に向けてダイエットをしていると聞いたので、何を食べているのか聞いたところ、満面の笑みで「ささみとブロッコリーっす!」と答えてくれました(笑)。

彼に限らず、野球のダルビッシュ選手などのアスリートやボディービルダーに好まれる「ささみ」と「ブロッコリー」の組み合わせ。なぜささみとブロッコリーなのか?栄養の面から考えてみると、実は非常に理に適った組み合わせなのかもしれません。

言うまでもなく、ささみにはタンパク質が豊富に含まれます。以前のブログでも紹介したように、タンパク質には食欲を減退させる効果があると言われており、中でも脂肪分の少ないささみは身体作りに励むダイエッターには非常に適していた食材と言えます。

しかし、ささみばかり食べることってどうなのでしょう?身体に悪影響はないのでしょうか?

まず、タンパク質の構成について。タンパク質の成分となるアミノ酸は全部で20種類あり、そのうちの9種類は必須アミノ酸といって体内で合成することができません。

肉には必須アミノ酸のうちの「メチオニン」が多く含まれます。その一方で「グリシン」というアミノ酸(非必須)が比較的少ないと言われています。そのため肉ばかりを食べていると。摂取するアミノ酸のバランスがくずれて、それによって身体に影響をきたす可能性が指摘されています。

どのような影響かと言うと、メチオニンが体内で代謝されて生まれる「ホモシステイン」というアミノ酸が、間接的に心血管病変などの慢性疾患のリスクファクターになりえるということです。しかしその詳細なメカニズムについては明らかでない上、専門家の間でも意見は分かれているのが現状です。

ちなみに国家試験に必出の疾患に「ホモシステイン尿症」というのがあり、これはホモシステインが代謝できず、過剰に体内に蓄積されることによって様々な症状をもたらす先天性の遺伝子疾患なので、今回の話とは全く別の問題です。

もちろん、通常健康な人の場合、食事により一時的に血中のホモシステイン値が上昇してもすぐに正常値に落ち着きます。肉の過食によってホモシステインが上昇するというエビデンス(医学的な根拠)はありません。

しかし長期の過剰な肉食によってホモシステインのベースの値が上昇すると、さらにメチオニン-ホモシステインの代謝経路が促進すると言われています。さらにその代謝の過程で葉酸やビタミンB群が酵素として消費されます。そのためこれらの栄養素が体内で欠乏する可能性もあります。

おそらくプロのアスリートやボディービルダーの方も身体作りのための一時的なメニューとして考えているとは思いますが、タンパク質もバランスが大事です。動物性のタンパク質(魚や卵)はメチオニンが多く含まれますが大豆などの植物由来のタンパク質はメチオニンは比較的少ないです。もちろん肉を食べるな、というわけではなく、肉を食べるときは代謝に必要とされる葉酸やビタミン(B2、B6、B12)を一緒に摂取することが推奨されます

ここで、ブロッコリーが浮上してくるわけです。ビタミンB12については基本的に野菜には含まれず、貝類などに多く含まれる栄養素ですが、ブロッコリーには葉酸およびビタミンB群を多く含みます。さらにβカロチン、ビタミンCなど栄養豊富な野菜なのです。

ブロッコリーでなくても例えば芽キャベツやアスパラガスなども葉酸やビタミンB群を多く含むので、何もブロッコリーだけをひいきする必要はないかもしれません。しかし、私もダイエットしたときに思ったのですが、ブロッコリーのあの「もさもさした」食感は腹持ちをよくしてくれてとても重宝する食材なのです(笑)。「ダイエット」×「ささみ」×「ブロッコリー」の組み合わせはそれゆえ最強と言えるのではないでしょうか。

カロリーも考慮するならば、ささみとブロッコリーの蒸し料理がおすすめです。ささみはもも肉と比べるとパサパサしているから苦手という方もいらっしゃるかもしれませんが、低温調理するともも肉レベルにジューシーになって本当に美味しいですよ!そんなささみとブロッコリーのレシピを次回、他のおすすめの低温調理レシピと合わせてご紹介したいと思います。

参考文献:Westerterp-Plantenga MS, et al;Protein intake and energy balance:Regul Pept, 2008, 149(1-3)67-9

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