- 糖化と運動
- 運動が糖尿病のリスクを軽減することは広く知られています。同様に、運動が抗糖化対策になることもこれまでの報告で明らかになっております。実際に、同じ年齢のアスリートは、運動習慣のない人とCMLなどの老化物質AGEsの量が21 […]
ブログ
数年前、やたらとスーパーで見かけた「ココナッツオイル」。最近めっきり見なくなったと思いませんか?
ココナッツオイルブームの先駆けはアメリカで、日本でも「健康にいい」と注目されました。なぜひっそりとブームが終了していたかというと、ココナッツオイルは健康にいいどころか、健康を害するものであったということが研究が進むにつれ明らかになってきたからです。
もともと、ココナッツオイルには「中鎖脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸が多く、分解されやすいために脂肪になりにくく、ダイエットにいいと考えられていました。しかし、実際ココナッツオイルには中鎖脂肪酸は15%程度しか含まれていません。つまり、ココナッツオイルによる中鎖脂肪酸の影響はほとんどないということです。
それ以上に覚えていただきたいのが、ココナッツオイルに含まれる油のほとんどが「飽和脂肪酸」であるということ。飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やして心血管障害のリスクを高める他に、身体の中で炎症を引き起こす、腸内環境を悪化させるなど身体にとって負の働きをします。
飽和脂肪酸は、主に赤肉(牛肉・豚肉)や乳製品に多く含まれると言われますが、牛肉が40%、バターが60%のところココナッツオイルは実に80%もの飽和脂肪酸を含んでいるのです。
実際にアメリカ心臓協会(AHA)では、ココナッツオイルは有害として摂取しないようにという見解を出しています。具体的には、コレステロール値がすでに高い場合、飽和脂肪酸の摂取量は総カロリーの約5%程度が望ましいとされています。ただ、ココナッツオイルをバターのようにたくさん使って料理をしたり、直接飲むようなことは現実的にほとんどないでしょう。ココナッツオイルのみ悪とするのは少しやりすぎかな、と個人的には思いますが、何事もほどほどに、ということが大切です。日本の場合、もともと普段の食生活の中でココナッツオイルような機会がないため、そもそも定着することが難しかったかもしれませんね。
また、海外のモデルなどでココナッツオイルを全身に塗っているというような話も聞いたことがあります。ココナッツオイルは天然由来石けんなどに含まれることが多く、ココナッツオイル自体が接触性皮膚炎(かぶれ)など深刻なトラブルを引き起こすといった報告もありません。特に安全性については問題ないと言えるでしょう。ただし、日本人の場合、欧米人と比べて皮膚が薄く、オイルを塗る際に摩擦を引き起こしてしまうケースも。天然のココナッツオイルほどそのような傾向があるため、使用には注意しましょう。
参考文献:
Sacks FM, et al. Dietary Fats and Cardiovascular Disease: A Presidential Advisory From the American Heart Association. Circulation.2017 Jul 18;136(3):e1-e23. doi: 10.