- 糖化と運動
- 運動が糖尿病のリスクを軽減することは広く知られています。同様に、運動が抗糖化対策になることもこれまでの報告で明らかになっております。実際に、同じ年齢のアスリートは、運動習慣のない人とCMLなどの老化物質AGEsの量が21 […]
ブログ
「フルーツダイエット」ってご存知の方いらっしゃいますか?以前からあるダイエット法のようですが、最近6年間フルーツしか食べていないという方がテレビで取り上げられ、また少し注目を浴びているようです。6年間フルーツだけとは…。タンパク質の摂取はどうしているのか疑問です。その方はフルーツだけの生活を始めて痩せたとコメントしていましたが、それはおそらく筋力の低下も関係しているでしょう。
いつだったか、バナナダイエット、りんごダイエットのようなダイエットが流行ったのは記憶にある方も多いと思います。フルーツダイエットもこれらと似ているのですが、朝食を1〜3種類のフルーツに置き換える、というとてもシンプルなダイエットです。このダイエットのポイントは「胃が空っぽなタイミングでフルーツを摂取する」ことにあるようなのですが、さて、本当に効果があるのでしょうか?
フルーツについては、水分が多く食べ応えのあるものが多いため、確かにダイエットのときはうまく取り入れたい食材のひとつだと思います。しかし、例え低カロリーであったとしても、好きな分食べてよし、かと言えばそうでもありません。それは、フルーツには「果糖」が多く含まれているからです。
果糖は糖質の種類のひとつで、他のブドウ糖などと比べて「老化を招きやすい」というデメリットがあります。それはこのブログでも何回も登場しているAGE(advanced-glycation end products)をためやすい原因です。その結合力はブドウ糖の100倍とも言われています。果糖が多いフルーツとしては、バナナやぶどうなどがあり、反対にベリー類や柑橘類は比較的少ないと言われています。
次に、フルーツは本当に胃が空っぽな状態で食べるのがいいのでしょうか?実はこの俗説は以前からあり、ソースはシンガポールの有名なシェフのようです。シェフ曰く、フルーツを他の食べ物と一緒のタイミングで摂取すると消化が遅くなって胃の中にずっと食べ物が停滞してしまい、ガスが発生したり発酵したりしてしまうとのこと。これは全く医学的にでたらめです。確かにフルーツに多く含まれる食物繊維は消化をゆっくりにします。ある研究によるとフルーツによって胃での停滞時間が平均72分から86分に延長するということも分かっています。しかし、胃は強い酸性でできており、胃で生息できる菌はピロリ菌など数種類を除いてほとんどいません。そんなところでたかが10数分食べ物が長くとどまっていても、何か変化が起こることはないのです。食物繊維は胃に長くとどまることで満腹感を持続してくれる効果があるのは本当なので、フルーツに限らず、食事にうまく食物繊維(きのこや根菜類など)を取り入れることはダイエットにおすすめです。
他にも、フルーツは朝食べるとよい、夕方以降は食べない方がいいという話も聞いたことがあります。フルーツは血糖値を上昇させるため、夕方以降だと太りやすいというものですが、こちらも医学的根拠はありません。夜は消費かロリーが低下しますがじっとしていても常にエネルギーは消費されます。夜にフルーツを食べる=太るという考えはやや安易かなと思います。
フルーツは、生活習慣病のリスクを下げることが医学的にも明らかになっており、私たちの健康にとてもフレンドリーな食材であることは間違いありません。特にベリー類は抗酸化作用が強く、美肌にも強い味方です。ただ、フルーツダイエットのような一時的な流行が出ては「やっぱりフルーツはカロリーが高いから…」というような批判も出たりでいいのか悪いのか一体どっちなんだ?と混乱を招くこともしばしば。上手に付き合っていきたいですね!
参考文献:
Yu K,et al:The impact of soluble dietary fibre on gastric emptying, postprandial blood glucose and insulin in patients with type 2 diabetes: Asia Pac J Clin Nutr.2014;23(2):210-8
Luc D,et al:Fruit and Vegetable Consumption and Risk of Coronary Heart Disease: A Meta-Analysis of Cohort Studies:American Society for Nutrition.2006;136(10)2588-2593