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今さら?アメリカできのこが再注目!マッシュルーム会議なるものまで!

  • 2016/02/23
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トレンドの最先端のアメリカ。そのアメリカで今注目を集めているのが「マッシュルーム(きのこ)」です。何で今さら?感が正直あるのですが、確かにきのこはドクターレシピ的にも非常に重宝している食材です。その主な理由は

  • 豊富な食物繊維
  • ビタミンDも含む
  • お肉のかさ増しができる
  • 最後が少々「?」だと思いますが後でじっくり説明しますね(笑)。

まず食物繊維の話からすると、食物繊維にはごぼうなどの根菜類や果実に多く含まれる不溶性食物繊維と、きのこ類や豆に多く含まれる水溶性食物繊維に分かれます。

2015年度版の標準摂取目標量は男性で20g/日、女性で18g/日以上です。2010年度版が男性19g/日、女性17g/日で2015年にそれぞれ1gずつ増えて改訂されているのは、食物繊維の摂取量が減っているためです。食物繊維は2つの働きから腸内環境を改善します。ひとつは善玉菌のエサになって善玉菌を増やす働き、もうひとつは便のかさを増やすことで有害物質を吸着して排泄する働きによるものです。

ただ、そしたらできるだけ食物繊維を摂ろう!と考えるのは少し注意が必要です。食物繊維でも不溶性食物繊維(根菜類など)は、名前の通り水に溶けません。根菜類が便秘にいいと言われているのは腸で水分を吸収して腸壁を刺激することで腸の動き(蠕動運動と言います)を高めるためです。そのため水分も一緒に摂らないと便が固くなってますます便秘になってしまう点に注意してください。

水溶性食物繊維であるきのこは水に溶け、先ほどの便秘の観点では摂取しやすい食材ですね。アメリカでは日本のようにたくさんの種類のきのこが手に入らないでひたすらマッシュルームを使っていますが他にも干し椎茸は保存もきいてとても重宝しています。

次にきのこに含まれるビタミンDです。ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつで、主にカルシウムの吸収を促進するビタミンとして知られていますが、最近ビタミンDがもたらす免疫調節作用や抗炎症作用について注目されています。皮膚科の分野ではビタミンDの補充によりアトピー性皮膚炎の重症度が改善した、という報告があります。ビタミンDは一般的に魚介類に多く含まれますが、きのこ類もビタミンDの栄養源になります。

参考文献:D.G. PERONI, ET AL; CORRELATION BETWEEN SERUM 25-HYDROXYVITAMIN D LEVELS AND SEVERITY OF ATOPIC DERMATITIS IN CHILDREN: BRITISH J OF DERM, 2011(164) 1078-1082

最後に、面白い論文を見つけたのでご紹介しますね。カロリーや塩分が過多になりがちなハンバーグにマッシュルームを混ぜて、しかもどのくらいの配合で混ぜると美味しくてヘルシーなハンバーグになるか、実験したものです。

気になるその結果は、ひき肉とマッシュルームが50:50で混ぜたところきのこによるうまみによって美味しさは保たれつつ、塩分25%カット、カロリーも減ってその代わりビタミンDなどやカリウムなどの栄養素の量が増加した、ということです。さらに味についてはひき肉100%のときと大差がないらしく、何ならひき肉:マッシュルーム=20:80でもいけますよと。それ故、この「Blend(ブレンド)」の手法によって、きのこが肉文化であるアメリカの「革命児」になるかもしれないと注目を集めるようになったみたいです。

参考文献:A. MYRDAL MILLER, ET AL;FLAVOR-ENHANCING PROPERTIES OF MUSHROOMS IN MEAT-BASED DISHES IN WHICH SODIUM HAS BEEN REDUCED AND MEAT HAS BEEN PARTIALLY SUBSTITUTED WITH MUSHROOMS: J FOOD SCI, 2014, 79(9)S1795–S1804

・・・本当かな?

そこで実際に、ひき肉を50%、マッシュルーム50%のハンバーグを作ってみました!ちなみにいつもハンバーグは豚ひき肉で作っているのですが、今回は検証実験なので牛ひき肉を使っています。調味料などは普段作るハンバーグと変えていません。私は隠し味で黒砂糖を使っています。このレシピだとソースがいらずに楽にできますよ!

<マッシュルームたっぷりハンバーグ>IMG_0075

○材料(2人前)

・牛ひき肉 150g

・マッシュルーム(みじん切り) 1パック

・玉ねぎ(みじん切り) 1/2個

・にんにく(みじん切り) 1片

・しょうが(みじんぎり) 1かけ

・しょうゆ 大2

・黒砂糖 10g

・塩こしょう 適宜

・サラダ油

○作り方

1、材料をすべて混ぜる。擂り粉木を使うとより粘り気が出る。たねをまとめて空気を抜く

2、フライパンに油をしいてたねを並べ、弱火でじっくり両面を焼く

(1人前:カロリー284kcal、タンパク質17.9g、脂質17.6g、炭水化物13.3g、食物繊維2.1g)

IMG_0070

途中はこんな感じ。やたらマッシュルームが目立って大丈夫かな?と思いつつ家族に食べさせたところ、「いつもと変わりなく美味しい」と。全くマッシュルームの存在に気づかれず(笑)!食べたところ確かにマッシュルームの味がいい感じに風味高く演出されていて、言われないと気がつきません。これは使える!

市場価格が安定していて比較的安いマッシュルームで代用するというのは、ヘルシーでかつ、お財布にも優しく理に適っていますよね。この影響もあるのか、アメリカでは「Mushroom Council」(日本語ではマッシュルーム会議?)というウェブサイトまであり、盛り上がりを見せています。みなさんもだまされたと思って一度この「革命児入りハンバーグ」試してみてはいかがでしょう(笑)?

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