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子どものアレルギー予防法 〜離乳食編〜

  • 2017/04/28
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長男がもうすぐ5ヶ月になります。4ヶ月検診のときに下の歯が生えているとドクターに指摘され、それからよだれが増えたり私たちの食事をじっと見つめていたりと、そろそろ離乳食かなと思い、ついに先日デビューしました。最初は何だろう、という感じで口をもぐもぐ動かしていましたがそのうち自らスプーンを口に運ぶように。思ったよりもスムーズな出だしとなり一安心です。

日本で離乳食デビューといえばまずお粥だと思いますが、アメリカではライスシリアルから始めることが多いようです。同じお米でも、粉末状のライスシリアルを母乳で溶かせて与えるというなんともアメリカらしい手間要らずなもの(写真がライスシリアルです)。普段飲んでいる母乳の味がするため、うちの息子も抵抗少なく食べられたのではないのな、と思います。

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さて、離乳食でつきものの問題といえば食物アレルギー。場合によっては命に関わるほど重症化するケースもあるため、どのように離乳食をすすめたらよいか悩まれているお母さんも多いのではないのでしょうか。

食物アレルギーの原因で多いのは、日本の場合、三大アレルゲンとして卵、牛乳、小麦が挙げられます。ほとんどの場合は食物アレルギーと診断されてもその後克服しますが、なるとならないのであれば、もちろんならないに超したことありません。ママができる範囲で、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

まずは、離乳食を始める時期について。どの育児書を見ても、だいたい57ヶ月くらいから、と書いてありますが、これよりも早い場合や遅い場合はよくないのでしょうか。

食べ物は最初、赤ちゃんにとっては初めて体験する「異物」。その異物をやっつけようと免疫システムが過剰に働いてしまうと食物アレルギーになってしまいます。しかし、腸には食べ物という異物を黙認してくれる便利なシステムがあって、この黙認作業により、食べ物を食べてもアレルギー反応が起こらず、上手く消化してくれるようになっているのです。

そのことを踏まえた上で、まず、4ヶ月より早い時期ではまだ赤ちゃんの腸管免疫が十分に発達しておらず、この「黙認」作業が上手くできずアレルギーにかかりやすくなります。逆に、例えば離乳食のタイミングをためらって1歳になってしまったら?実はこの場合もアレルギーになりやすくなってしまいます。47ヶ月というのは、赤ちゃんの 適切な腸内環境を作って、アレルゲンに暴露するのに最適なタイミング。卵や牛乳など、アレルギーになりやすい食品が不安で与えるタイミングを遅らせることで、逆にアトピーが増加した、という報告もあります。

最近では、リスクのある赤ちゃんに対して生後6カ月から固ゆで卵を与えたグループは、1歳児の卵アレルギーが約8割減少した、という研究結果が国立成育医療研究センターなどのチームにより発表された他、アメリカの新しいガイドラインでも、ピーナッツを生後4〜6ヶ月の早い時期に与えることを推奨しています。

つまり、食物アレルギーについては「早めに食べて予防」という考え方が広まってきているのです。

そして、まだあまり知られていませんが「食物繊維」が赤ちゃんの食物アレルギー予防になるのではないか、ということが最近話題になっています。

食物繊維は、腸内細菌の「エサ」になります。そのときに短鎖脂肪酸という分解物ができるのですが、この短鎖脂肪酸が免疫を調節する効果があることが分かっています。大人の場合、食物繊維が喘息やクローン病(腸の炎症を起こす病気)などの炎症疾患を改善すると言われており、今回赤ちゃんの場合でも免疫システムを整える効果がある可能性が、マウスを使った実験で明らかになったのです。

食物繊維は、赤ちゃんの場合まず56ヶ月くらいを目処にかぼちゃやお芋のすりつぶし、78ヶ月くらいからはヨーグルトやわかめなどの海草類、9ヶ月以降はきのこ類、豆類という順番に徐々にレパートリーを増やしていくといいでしょう。

離乳食については、あまり不安がらずに少しずつ慣れさせることがポイントです。もちろん、食物アレルギーのハイリスクの赤ちゃんの場合は、小児科に入院のもと、負荷試験といってごくごく少量から医師の監督の下で食べてもアレルギーが出ないか確認することがあり、どうしても心配という方はまずは小児科で相談されるといいでしょう。

離乳食だけでなく、他にも子供のアレルギー予防のポイントはいくつもあります。またこのブログでも取り上げていきたいと思います。

 参考文献:

Vickery BP, et al: Mechanisms of immune tolerance relevant to food allergy.J Allergy Clin Immunol. 2011,127:576-584

 Aurélien T, et al: Gut microbiota metabolism of dietary fiber influences allergic airway disease and hematopoiesis.Nature Medicine.2014.20;159-166

 Jian Tan, et al: Dietary fiber and bacterial SCFA enhance oral tolerance and protect against food allergy through diverse cellular pathways. Cell Reports. 2016,15(12) 2809-2824

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