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日焼けが子どもにどのように影響するか、前回のブログ(こちら)でご紹介しました。今回は、紫外線の意外な「メリット」についてお話したいと思います(前回と同じ写真で失礼します(笑))。
それは、紫外線のもつ、「ビタミンD合成」による効果です。ビタミンDについては実はこのブログでも度々登場しています。簡単に説明すると、ビタミンは骨を作るカルシウム代謝に関係しているだけでなく、最近では炎症を抑える効果などが明らかになっており、注目を集めているビタミンなのです。
そんなビタミンDについて近年、小児のビタミン D 欠乏が増加していることが相次いで報告されています。「炎症」が関係している皮膚の病気のひとつに「アトピー性皮膚炎」がありますが、ビタミンD不足もその原因のひとつなのではないか、と考えられています。ビタミンD不足の原因は主にふたつ。それは「過度な紫外線防御」と「食事の偏り」です。
ビタミン D の生成には紫外線 が必要です。そしてその波長は UVB で、前回お話した紫外線による皮膚がんにも影響を及ぼす波長ではあります。しかし、 ビタミン D は少しの紫外線量でもその生成は進むため、過度の日光曝露は必要ないというのが最近の医学会の新しい常識になりつつあるのです。
「徹底的なUVケアではなくほどほどのケアを。」それでは具体的にどのようなケアがいいのでしょうか。
前回お話した紫外線の強さと量については、住んでいる地域の UV インデックス環境によって異なります。また、同じ紫外線量でもその人そのひとのスキンタイプによって、ビタミン D 生 成に必要な紫外線曝露量は異なります。そのため一概には言えませんが、例えば東京都心で 1 月 1 日の昼 頃に顔と手を露出した状態で 50 分程度でビタミンDは十分に生成されます。夏ですと10〜20分程度。そのため、例えばそれほど日差しが強くない日に公園で出かける程度の外出であれば、顔や首などはきちんと日焼け止めクリームを塗り、手足の露出部については外側だけ、というくらいの差し引きでオッケーです。ただし、UVインデックスが非常に高いときなどは網羅的に、露出部全体に塗った方がいいと思います。
また、ビタミンDは食事からの摂取も可能です。北欧など冬の紫外線量がゼロになってしまう地域では、子どもでもサプリメントの摂取が推奨されています。食事でビタミンDを摂る工夫についてはこちらも参考にしてみてください。
参考文献:
Antonucci R, et al.Vitamin D deficiency in childhood: old lessons and current challenges.J Pediatr Endocrinol Metab. 2018 Mar 28;31(3):247-260