BLOG

ブログ

日焼けが子どもに与える影響〜その2〜

  • 2018/06/08
  • カテゴリー :
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日焼けが子どもにどのように影響するか、前回のブログ(こちら)でご紹介しました。今回は、紫外線の意外な「メリット」についてお話したいと思います(前回と同じ写真で失礼します(笑))。

IMG_0736

それは、紫外線のもつ、「ビタミンD合成」による効果です。ビタミンDについては実はこのブログでも度々登場しています。簡単に説明すると、ビタミンは骨を作るカルシウム代謝に関係しているだけでなく、最近では炎症を抑える効果などが明らかになっており、注目を集めているビタミンなのです。

そんなビタミンDについて近年、小児のビタミン D 欠乏が増加していることが相次いで報告されています。「炎症」が関係している皮膚の病気のひとつに「アトピー性皮膚炎」がありますが、ビタミンD不足もその原因のひとつなのではないか、と考えられています。ビタミンD不足の原因は主にふたつ。それは「過度な紫外線防御」と「食事の偏り」です。

ビタミン D の生成には紫外線 が必要です。そしてその波長は UVB で、前回お話した紫外線による皮膚がんにも影響を及ぼす波長ではあります。しかし、 ビタミン D は少しの紫外線量でもその生成は進むため、過度の日光曝露は必要ないというのが最近の医学会の新しい常識になりつつあるのです。

「徹底的なUVケアではなくほどほどのケアを。」それでは具体的にどのようなケアがいいのでしょうか。

前回お話した紫外線の強さと量については、住んでいる地域の UV インデックス環境によって異なります。また、同じ紫外線量でもその人そのひとのスキンタイプによって、ビタミン D 生 成に必要な紫外線曝露量は異なります。そのため一概には言えませんが、例えば東京都心で 1 月 1 日の昼 頃に顔と手を露出した状態で 50 分程度でビタミンDは十分に生成されます。夏ですと10〜20分程度。そのため、例えばそれほど日差しが強くない日に公園で出かける程度の外出であれば、顔や首などはきちんと日焼け止めクリームを塗り、手足の露出部については外側だけ、というくらいの差し引きでオッケーです。ただし、UVインデックスが非常に高いときなどは網羅的に、露出部全体に塗った方がいいと思います。

また、ビタミンDは食事からの摂取も可能です。北欧など冬の紫外線量がゼロになってしまう地域では、子どもでもサプリメントの摂取が推奨されています。食事でビタミンDを摂る工夫についてはこちらも参考にしてみてください。

 

参考文献:

Antonucci R, et al.Vitamin D deficiency in childhood: old lessons and current challenges.J Pediatr Endocrinol Metab. 2018 Mar 28;31(3):247-260

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらの記事も読まれています!

糖化と運動
運動が糖尿病のリスクを軽減することは広く知られています。同様に、運動が抗糖化対策になることもこれまでの報告で明らかになっております。実際に、同じ年齢のアスリートは、運動習慣のない人とCMLなどの老化物質AGEsの量が21 […]
糖化を抑える食事法
食べ物や調理法の次は、食事そのものをどのように工夫すると、糖化は抑えられるのでしょう。これまでの報告で分かっていることは次のようなことです。 野菜を先に食べる GI値の低いものを食べる(精製した炭水化物は控える) レモン […]
糖化と睡眠
日本人は海外と比較すると圧倒的に睡眠不足だと言われます。睡眠不足は身体にどう影響を及ぼすのでしょうか。 まず、統計学的に睡眠時間と相関しているのが分かっているのが肥満です。睡眠時間が短いと、肥満になる傾向があります。この […]
お酒は糖化にどう影響する?
ビール、ワイン、日本酒・・・ お酒の種類は様々ありますが、いずれもアルコールです。実はアルコールこそが糖化ストレスの引き金となります。アルコールは化学構造式的に「アルデヒド基」を含みます。糖化の犯人は、この「アルデヒド基 […]
アンチエイジングな調理法
糖化対策のひとつに、おすすめの調理方法があります。それは「低温調理法」です。 低温調理とは、一言で言うと、お肉などのタンパク質が変性しない低い温度(40〜65℃くらい)で調理すること。通常茹でたり焼いたりするとタンパク質 […]
糖化と肌の関係
皮膚における糖化ダメージは、見た目が老化に大きく関連してきます。具体的には「しわ」「たるみ」「ごわつき」「くすみ」「シミ」といったエイジングサインを促してしまうのです。   このことを少し詳しく説明したいと思い […]