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先日、電車広告で見かけた「腸にいいお味噌汁で長生きする!」といった健康本。どうやら売れているようでどんなお味噌汁なのか私も興味津々です。さて、お味噌汁に限らずここ数年注目を集める「腸内環境」。便秘などの消化活動だけでなく、お肌の状態やうつなどの精神状態、アレルギーにも関係すると考えられています。
その腸内環境ですが、実は赤ちゃんからケアしてあげることで、その後のアレルギーや肥満などに重要かもしれない、と注目されるようになっているのです。
赤ちゃんは生まれてしばらくは腸内環境が未熟な状態で、主に次の3つの時期に分かれています。
3ヶ月〜14ヶ月(1歳3ヶ月頃)…発達期:菌の数が少なく未熟な状態
15ヶ月〜30ヶ月(2歳半頃)…移行期:菌が増え、腸内環境が大きく変わる時期
31ヶ月…安定期:菌の大きな変動なくなり、腸内環境が落ち着く時期
腸内細菌の状態は正常分娩かどうか、ペットがいるかどうか、兄弟がいるかどうかによっても変わりますが、やはり一番大きな影響を与えるのは栄養です。そして、移行期つまり2歳半までによって、ある程度その子の腸内環境が決まってくると言われています。
腸内細菌の中でキーになってくるのが、「ビフィズス菌」。ビフィズス菌はヨーグルトなどでもなじみ深い菌ですが、母乳にも多く含まれている菌なのです。母乳が赤ちゃんにいいと言われている理由のひとつは実はビフィズス菌だったんですね。
ある研究では、一度、断乳などによって赤ちゃんの腸内のビフィズス菌が減ると腸内環境の変化、いわゆる「ターンオーバー」が早まって成人の腸に多い「フィルミクテス」という菌が増えます。この菌は肥満に特に関係していて「デブ菌」とも呼ばれているほど。早くからフィルミクテスが増えてしまうことは、その後の赤ちゃんの肥満につながる可能性があります。
私の場合、息子の離乳食は4ヶ月後半頃からスタートし、断乳は1歳のタイミングで実行しました。腸内環境の変動を防ぐためには、これらの時期を遅くすればいいのではないか、と考えもあるかもしれません。しかし、食物アレルギーの点からは、遅すぎる離乳食開始は推奨されていません。ただ腸内環境の発達を考えると、今後、断乳や離乳食を開始した赤ちゃんは腸内環境が安定する2歳半頃まで、ビフィズス菌のサプリを飲むなどのやり方がスタンダードになってくるかもしれません。この分野の研究はまだまだ発展途上なので、今後このことに関する報告も増えてくると思います。
「赤ちゃんから菌活を!」。私も次の赤ちゃんには腸内環境のことをもっと考えてみようかなぁと思う今日この頃です。
参考文献:
Christpher JS, et al: Temporal development of the gut microbiome in early childhood from the TEDDY study.Nature, 2018; 562 (7728): 583