BLOG

ブログ

【妊婦さん必見】妊娠中に摂るべき栄養素って?

  • 2016/05/14
  • カテゴリー :
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最近米ゴシップ誌で、イギリスのキャサリン妃が今度は双子の赤ちゃんをご懐妊されたらしいというニュースが報じられ、話題になっています。本当なら、双子出産はイギリス王室700年の歴史において初めてのことだそうです。公式発表が気になりますね!私の周りも最近ベビーラッシュで、ハッピーなニュースが続いています。そこでよく聞かれることが妊娠中の食事についてです。

妊娠中では食べるものにも細心の注意を払いますよね。おそらく産婦人科でも食事指導を受けると思います。例えばカフェイン(胎盤の血管を収縮する作用があるため)、ヨード(摂り過ぎによって胎児の甲状腺機能が一過性に低下する可能性があるため)、生肉(トキソプラズマなどの感染症予防)など。もちろん禁酒、禁煙も重要です。

逆に、積極的に摂った方がいい栄養素はご存知でしょうか?まず神経障害や流産の予防に葉酸を摂った方がいいということは有名ですね。また循環血漿量(身体をめぐる血液の量)が増えて貧血傾向になるため、鉄分、カルシウム、そしてタンパク質などの栄養素をしっかり摂る必要があります。それ以外に、今回覚えていただきたい栄養素があるのです。

それは

・オメガ3脂肪酸

・プロバイオティクス

です。以前のブログでも頻出のこれらの栄養素。またか、て感じですよね(笑)。

まずオメガ3ですが、胎児の脳の発達に関係している可能性が指摘されています。最近東邦大学で行われたマウスの実験で、必須脂肪酸であるオメガ6とオメガ3のバランスをあえてオメガ6過多かつオメガ3欠乏という食事内容にして妊婦マウスにさせたところ、生まれてきたマウスにおいて脳の機能を担う神経細胞の数が減少していたことが分かりました。それだけでなく、生まれた後にオメガ6/オメガ3のバランスを改善した飼料を投与しても、その後過剰な不安状態を示すも明らかになりました。

マウスの実験なので人間で必ずしも全く同じ結果になるかは分かりませんが、少なくともこのことから、出産後からではなく妊娠中から積極的にオメガ3を摂取することが、健やかな赤ちゃんが育つひとつのポイントになると考えられます。

実際に多くの国で、オメガ6の摂取が過剰傾向になっており、そうしたオメガ6/オメガ3のアンバランスな食生活が赤ちゃんに限らず児童の不安障害などの精神疾患の発症リスクを高めるのではないかと言われています(理想的なオメガ6:オメガ3の比率は4:1程度と言われています。詳しくはこちらご参照ください)。

妊娠中では特にオメガ3を豊富に含む魚介類や亜麻仁油などを習慣的に摂取するよう心がけましょう。ただし、一部の魚には水銀が含まれていることからマグロ、キダイ、マカジキなどを食べる際にはその摂取量に注意することが必要です(詳しくは厚生労働省のこちらのリンクを参考にしてください。サーモンやサバ、アジについては特に注意しなくても大丈夫です)。

次にプロバイオティクスです。プロバイオティクスは胎児のアレルギーと関係があると言われています。臨床研究によって使う菌の種類や菌株、量、使用期間が異なるため、まだ一定の結果が出ていないのが現状なのですが、妊娠末期から授乳中のプロバイオティクスの摂取は、子供のアトピー性皮膚炎の発症を予防できるというのが現在の見解です。ただし、残念ながら既に発症してしまったアトピーについてはその効果は認められていません。

腸内環境については個人差が大きく、効果のあるプロバイオティクスも個々に違いがあると思います。そのため自分に合ったプロバイオティクスを毎日摂取することが重要です。個人的にはヨーグルトよりもケフィアが効果がより高い実感がありおすすめです(ケフィアについてはこちらで詳しく紹介しています)。

アレルギーに関して先ほどの魚介類に話を戻すと、最近サーモンなどの脂肪の多い魚を妊娠中に摂取することによって子供が喘息になりにくい、という論文が発表され、注目を集めています。

ちなみに、子供のアレルギー発症のリスクを減らすために、過去には妊娠中や授乳中の食物抗原除去食(卵や牛乳などを除去した食事)が推奨されていた時期もありました。しかし除去食は予防効果はなく、医学的根拠が乏しいとされ、現在は推奨されていません。私自身も妊婦さん約300名のコホート試験を行いアレルギー除去食とその後の子供のアレルギー発症率に関連性があるか調べましたが特に見つかりませんでした。

さて、以上を踏まえた上で今回ご紹介するドクターレシピはサバ缶を使った「サバキムチ丼」です。キムチは厳密にはプロバイオティクスではなくプレバイオティクスになりますが、プロバイオティクスと同様に腸内環境を改善します。そしてサバに豊富に含まれるオメガ3で妊娠中に摂りたい栄養素を補うことができます。炒めるだけで手間要らずな点もポイント(笑)。サバ缶はストックしてあるといいですね。

<サバキムチ丼>

IMG_0044

○材料(2人前)

・サバの水煮缶 1缶

・キムチ 100g

・マッシュルーム(縦切り) 1/2パック

・豆腐(食べやすい大きさに) 1/2丁

・しょうゆ 大1

・サラダ油 適量

・ごま油 小1

・鶏ガラスープの素(なくてもよい) 小1/2

・三つ葉(あれば) 少量

・白ご飯

○作り方

1、フライパンにサラダ油を熱し、マッシュルームとキムチを炒める

2、1にさばの水煮を汁も含めて加え、さらに豆腐も加える

3、しょうゆ、鶏ガラスープの素を加え、全体になじむまで炒める

4、ごま油を加え、ご飯の上にのせる。最後に三つ葉を添える

(1人前:カロリー439kcal、タンパク質32.6g、脂質17.3g、炭水化物34.6g、食物繊維2.4g)

参考文献:

Sakayori N, et al: Maternal dietary imbalance between omega-6 and omega-3 polyunsaturated fatty acids impairs neocortical development via epoxy metabolites:Stem Cells. 2016. 34(2)470-82

University of Southampton. “Oily fish eaten during pregnancy may reduce risk of asthma in offspring.” ScienceDaily. ScienceDaily, 6 April 2016

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こちらの記事も読まれています!

糖化と運動
運動が糖尿病のリスクを軽減することは広く知られています。同様に、運動が抗糖化対策になることもこれまでの報告で明らかになっております。実際に、同じ年齢のアスリートは、運動習慣のない人とCMLなどの老化物質AGEsの量が21 […]
糖化を抑える食事法
食べ物や調理法の次は、食事そのものをどのように工夫すると、糖化は抑えられるのでしょう。これまでの報告で分かっていることは次のようなことです。 野菜を先に食べる GI値の低いものを食べる(精製した炭水化物は控える) レモン […]
糖化と睡眠
日本人は海外と比較すると圧倒的に睡眠不足だと言われます。睡眠不足は身体にどう影響を及ぼすのでしょうか。 まず、統計学的に睡眠時間と相関しているのが分かっているのが肥満です。睡眠時間が短いと、肥満になる傾向があります。この […]
お酒は糖化にどう影響する?
ビール、ワイン、日本酒・・・ お酒の種類は様々ありますが、いずれもアルコールです。実はアルコールこそが糖化ストレスの引き金となります。アルコールは化学構造式的に「アルデヒド基」を含みます。糖化の犯人は、この「アルデヒド基 […]
アンチエイジングな調理法
糖化対策のひとつに、おすすめの調理方法があります。それは「低温調理法」です。 低温調理とは、一言で言うと、お肉などのタンパク質が変性しない低い温度(40〜65℃くらい)で調理すること。通常茹でたり焼いたりするとタンパク質 […]
糖化と肌の関係
皮膚における糖化ダメージは、見た目が老化に大きく関連してきます。具体的には「しわ」「たるみ」「ごわつき」「くすみ」「シミ」といったエイジングサインを促してしまうのです。   このことを少し詳しく説明したいと思い […]