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アメリカ食生活の理想と現実

  • 2016/02/16
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アメリカでは「グルテンフリー」や「ビーガン」食を掲げる健康系レストランが大変人気です。正直美味しくない(失礼!)のに連日通っている人を見ると、やっぱりアメリカ人は健康に気を遣う人が多いんだなぁと思っていました。

しかし、2016年1月にアメリカ政府による2015-2020年度食生活指針が発表され、そこで推奨される栄養量と現実の摂取量に大きな隔たりがあることが調査により明らかになり、話題になっています。しかし、そもそもこの食生活指針自体に賛否両論が出ているのも事実です。具体的に詳しく見てみましょう。

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まず、この食生活指針では1日の総カロリーと2000kcalとしています。ここ10年で変わらず推奨されている点は

「より多くの果物、野菜を摂ろう。砂糖と塩分は摂りすぎるな。食物繊維も大事だよ。」

ということです。推奨摂取量についても変更はなく、果物、野菜についてはそれぞれ2カップ、2 1/2カップとなっています。しかし実際には野菜については87%の人が推奨量を摂取できておらず、特に10代の摂取量が低いという結果になっています。果物についても75%の人が推奨量を摂取できていませんでした。

次に砂糖と塩分についてはどうでしょうか。砂糖は推奨摂取量が200kcal以下、塩分は2300mg(小さじ1杯)以下とされています。砂糖は70%の人が推奨量と超えており、塩分に至っては89%の人が推奨量とされる2300mgを超えているという結果でした。ちなみに男性平均が4240mg、女性が2980mgと男女間でも差がありました。

これらについてはスローガンが市民にも定着しつつあるものの、いまだ理想の摂取量に至っていないことが分かります。

次に、賛否両論出ているのが脂質、および乳製品についてです。まず脂質についてですが、10年前のガイドラインでは、脂質の中でも飽和脂肪酸(おもに肉由来の脂質)は総カロリーの10%以下にしましょう、そしてトランス脂肪酸とコレステロールの摂取は300mg以下にしましょうと提示していました。アメリカではトランス脂肪酸を2015年から3年以内までにすべての食品への添加を禁止しています。またコレステロールについては食事由来のコレステロールは血中のコレステロール値に影響を与えないということが論文で明らかになり、コレステロール摂取量の上限値についての記載はなくなりました。

問題は飽和脂肪酸で、専門家でもどれくらいの摂取量が望ましいかは意見が分かれます。というのは最近、牛肉や豚肉などのいわゆる「red meat(赤肉)」やベーコンなどの加工肉が大腸がんや心血管病変のリスクになるという報告が相次いでいるためです。牛肉や豚肉は特に飽和脂肪酸を多く含みます。しかしガイドラインでは飽和脂肪酸の記載については変更がなく、実際に71%の人が推奨量の200kcalを超えているという結果になりました。ちなみに日本では飽和脂肪酸は全カロリーの7%以下が目標とされています。

参考文献:VERONIQUE BOUVARD, ETAL; CARCINOGENICITY OF CONSUMPTION OF RED AND PROCESSED MEAT: LANCET, 2015(16), 1599-1600

そして乳製品については、ガイドラインでは3カップを推奨摂取量としており、中でも低脂肪や無脂肪のものを多く飲むように推奨しています。これについては以前のブログでもご紹介したように、無調整のナチュラルなタイプのものと低脂肪のタイプものでは、肥満や生活習慣病のリスクに有意な差はないということが分かってきました。そのため、いまだに低脂肪のタイプを推奨することについて、批判が出ています。ちなみに実際の摂取量については、4歳以下の幼児を除くすべて世代(86%)で摂取量が低い結果でした。

他にも食物繊維を摂りましょう、ということで穀物も半分以上はwhole grain(全粒粉)を摂取するように推奨しているのですが、実際に果物をクレンズジュースのように食物繊維が取り除かれた状態で摂取している人が多いにも関わらず、そちらについても言及がなかったりとやや炎上状態のこの新しい食生活指針。また調査によると、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病を持つ人ほど理想の食生活にほど遠かったとのこと。

結局のところ食事に気を遣う人と気を遣わない人で二極化してるんだなぁ。ここまで読んだってことはきっとあなたは食事に気を遣う人、ですよね(笑)?

参考文献:http://www.ars.usda.gov/Services/docs.htm?docid=13793

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