- 糖化と運動
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先日久しぶりにハワイを訪れたのですが、ハワイで一番行列だったのがなんと「丸亀製麺」で驚きました。他にもパリでラーメンが流行っていたり外人にお好み焼きが大人気だったりと、世界で日本食が注目されているのはなんだか嬉しいですよね。
しかし、本当に評価してほしい日本食はこれだけではありません。世界有数の長寿大国である日本ではその食文化が大きく影響していると言われています。そんな日本人の長寿の秘訣について、日本の食生活そのものに注目が集まっているのです。そして今回、BMJという有名なジャーナルに日本の食生活と長寿について調べた論文が発表されたのでご紹介します。
研究は日本人約8万人を対象として長期期間にわたって行った大規模なスタディで、食事バランスガイドに沿った食生活を送っている日本人は、そうでない人と比較して15年後の全体の死亡率が15%も低かったという結果が明らかになりました。それだけでなく、心臓病や脳血管障害による死亡率も低かったそうです。
ここで言う、「食事バランスガイド」とは何でしょう?これは2005年厚生労働省・農林水産省が策定しているガイドラインで、図で示すように逆ピラミッド構造を取っています。一番上が穀物類で下に向かって副菜(野菜やキノコ類)、主菜(肉、魚など)、乳製品、果物の順になっていて、それぞれの理想的な摂取量がSV(食事の提供量の単位)として表示されています。
以前紹介したアメリカ政府による食生活指針では積極的に果物や野菜を摂ることを強調している点など、日本のガイドラインといくつか異なる印象がありますが、さらに言うとスナックやお菓子、アルコール飲料など、通常完全に除外するよう推奨しているような嗜好品も適度ならばよい、としているところも特徴です。しかしやはりバランスのよい日本食の最大の特徴は魚や大豆、野菜などを多く摂取している点です。
アメリカと比較すると、アメリカでは脂質や砂糖を多く含む加工食品からたくさんのカロリーを消費する傾向にあります。加工食品は調理などの手間が省けて便利である一方、栄養のトータルバランスを考慮することが難しく、カロリーオーバーになりがちです。
日本食が健康にいいことは私たちも何となく認識はありますし、今さらのようなことかもしれませんが、このようにバランスのとれた食事について再認識することは、今後健康的なライフスタイルを維持する上でとても重要なことだと思います。
日本食の献立でよく言われる「一汁三菜」という言葉があります。これはご飯、汁物に加えて野菜を多く取り入れた副菜2品と、肉や魚などをメインとした主菜1品で構成される献立のことを指しますが、それぞれ一皿単位で献立を想像しやすいため、少しこのことを意識するだけで自然とバランスの取れた食生活に貢献することができますよ。
もちろん毎日必ず一汁三菜で献立を考えなくてはいけないということはありませんが、欧米の食生活が浸透しつつある今だからこそ、もう一度世界が注目する「ヘルシーな日本食」から、ご自分の食生活を見直すいい機会かもしれませんね。なんだかタイトルの割にはおとなしい内容になってしまいました、すみません(笑)。
参考文献:
Kurotani K, et al:Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan Public Health Center based prospective study:BMJ. 2016. 22(352)i1209. doi: 10.1136