- 糖化と運動
- 運動が糖尿病のリスクを軽減することは広く知られています。同様に、運動が抗糖化対策になることもこれまでの報告で明らかになっております。実際に、同じ年齢のアスリートは、運動習慣のない人とCMLなどの老化物質AGEsの量が21 […]
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以前このブログの「2016年のトレンドダイエット」でもご紹介した「腸内細菌」は、医学会で最も研究が盛んといっても過言ではないホットトピックです。
腸内には1000種類ほどの細菌が生息しており、その数は1000兆個にものぼると言われています。この腸内細菌の集まりを「腸内フローラ」といい、腸内細菌が感染症やアレルギー、炎症性腸疾患、癌、肥満、自閉症など様々疾患に影響を及ぼすことが明らかになってきています。
腸内細菌にはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌とウェルシュ菌、大腸菌などの悪玉菌、そのどちらでもない日和見菌の3種類に分けられます。腸内細菌のバランスが取れた状態とは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7の割合と言われています。
善玉菌が増えると免疫力や代謝をアップさせたり、有害物質を分解するなど腸内環境を改善します。反対に悪玉菌は、腸内の食べ物の消化物を腐敗させて硫化水素やアンモニアなどの腐敗物質を生み、ガスや悪臭を産生します。
問題は日和見菌で、腸内環境によって善玉菌になったり悪玉菌になったりします。その原因は様々で、食生活だけでなく、ストレス、加齢など様々なことで影響を受けます。日和見菌が悪玉菌に変わってバランスが崩れると、腸内環境が悪化につながります。
つまりいわゆる「腸活」とは、「善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌)を増やして腸内環境を整える」ことになります。
そこで「probiotics(プロバイオティクス)」の登場です。プロバイオティクスとは生きたまま腸に届き身体にいい働きをする微生物やそれを含む食品のことを言います。よくヨーグルトなどの広告で「大腸まで届く乳酸菌」などという文句があると思いますが、わざわざそう言うということは・・・そうです、通常ほとんどの乳酸菌は胃酸によって死滅してしまうのです。そのためメーカーは、いかに生きたまま腸に乳酸菌を届かせるか、ということを日々研究を重ねています。ただ、死滅してしまった乳酸菌も全く役に立たないわけではなく、善玉菌のエサになることで腸内環境の改善に貢献します。これを「バイオジェニシス」といいます。
腸内環境の改善が便通にいいことはイメージしやすいけれど自分は便秘でもないし癌や炎症性疾患と言われてもピンとこないな、という人も多いと思います。そんな人にもぜひ知っておいていただきたい腸内環境改善のメリットがあります。(ただしまだ検討中の内容も含みます。)
1、やせ体質になる
肥満の人では通常の人よりも悪玉菌の割合が高いという報告があり、肥満は腸内細菌によってコントロールされている可能性が指摘されています。
2、アンチエイジングになる
「ポリアミン」という細胞の老化に関する物質を、一部の善玉菌が産生あるいは産生を促していることが報告されています。ポリアミンは抗炎症作用や抗酸化作用に加えて加齢の原因となる細胞のDNAの突然変異を抑えるなど様々な機能があると考えられています。マウスの実験でポリアミンを多く与えたマウスの方が通常のマウスよりも寿命が長かったという実験結果があり、アンチエイジングへの応用に期待が集まっています。
3、ワークアウト後の体調を整える
そして私を含めて日常的に運動をしている方に特に注目していただきたいのこちらです。以前よりアスリートでは胃もたれや下痢などの消化器症状が現れやすいと言われており、それは運動によりコルチゾールなどのストレスホルモンが活性化され、腸管防御機能を始めとした免疫系に影響を与えるというメカニズムだと考えられています。
そこで、免疫改善効果のあるプロバイオティクスをアスリートに投与したところ、消化器症状が改善したという報告や、他の研究では風邪をひく回数が減った、気管支炎などの呼吸器系の感染症のリスクが減ったなどという報告が次々と明らかになり、プロバイオティクスがアスリートのコンディションアップのためのトレーニング処方になりえそうとの可能性を指摘しています(こちらについてはスポーツナビDOのコラムでも紹介しています)。
前回、ケフィアの話をしましたが、メーカーによって異なるものの大半はプロバイオティクスを謳ったケフィアが販売されています。そしてプロバイオティクスが配合されたプロテインパウダー!さらに、プロバイオティクスケフィアのプロテインドリンク!さすがはアメリカ(笑)。
プロバイオティクスの基本編を今回はご紹介しましたが、実践編についてはドクターレシピとともに追って紹介できたらと思います!